02-蘇生

1/2
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/64ページ

02-蘇生

 息を吸う。苦しくはない。うとうと開いた目に映ったのは、見覚えのあるアパートの天井の、安っぽい蛍光灯。大丈夫だ、保護されている。俺はそっと起きあがって、反射的に水を探した。畳に敷かれた布団の枕元に、ペットボトルのミネラルウォーター。本当に助かる。  水を飲みながら隣の部屋を覗くと、ナナの長い髪が見えた。声をかけようと息を吸いかけたところを、びっくりして振り返ったナナと目が合う。ナナが飛びかかってきて首に巻き付く。俺はペットボトルを取り落とした。 「高矢、……おはよう」  耳元で小さくつぶやく声。俺は咄嗟に、ああ、だか、うん、だか曖昧な言葉を返した。 「もうっ、久しぶりなんだからねっ! もう少しうれしそうにしてくれたっていいでしょ!?」  飛びかかるのと同じ勢いで俺から離れて、ナナは恨めしそうに俺を見た。 「仕方ないだろ。生き返ったばっかりなんだぜ?」  俺がそう言うと、ナナはちぇっとばかりに一瞬いじけて見せ、次の瞬間には満面に笑顔を戻していた。 「そうだよね。ごめん、ちょっとはしゃぎすぎちゃった。お風呂いれなきゃね? 服も、死んだときのままだし」     
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!