第一章 See What I've Become

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 グレンと呼ばれた少年は、うつむいた。ほとんど家屋敷ですごす少年の肌はぬけるように白い。母親似の顔は、死刑執行人の家に生まれさえしなければ、ほうっておかれることはなかっただろう。街で一番の美形の兄弟だ。 「きゃーっ、グイド様ぁ! 今日も素敵! また僕の首を斬ってぇ」  首なし幽霊の道化師が群衆の頭上で、胸元で、切断された自分の頭を持ち、頬に両手をあてて誰にも聞こえないはずの声で叫んだ。 「イプシランティ兄弟さえいなければ、僕たちがジルジウの街一番の美形だったのに! 兄さん!」 「悔しがるな! 弟よ! 我ら兄弟は、もはや年を重ねぬ。イプシランティの手にかかったこの美貌は、永遠なのだよ!」 「街の人々に尽くせば尽くすほど、蔑まれ、ツバを吐きかけられるイプシランティの兄弟愛! 苦しければ苦しくなるほど輝くほどに美しいよ! この醜い凡俗共の中で輝いて見えるよ! 兄さん!」 「麗しい兄弟愛だねえ、弟よ!」  首なし幽霊の道化師が、貴賓席のテーブルの上に寝そべった。 「麗しい兄弟愛? 自分がいなければ生きていけないように弟を仕向けてる兄のエゴさ。そこにスキがある」  貴賓席の年寄りたちの中でひときわ若い、真紅のフランシスコ会の司教服に身を包んだ若者が口を開いた。 「兄さん! 絶対この人、僕達のこと見えているよ!」  首なし道化師の幽霊の弟が自分の生首を放り投げた。     
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