第一章 See What I've Become

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 最後の晩餐だ。罪人はイプシランティ家の客人としてもてなされる。街で一番の高級料理店公会堂地下食堂を保有するイプシランティ家の食卓だ。街の誰もがうらやむイプシランティ家の食卓で椅子にしばりつけられた罪人の口に、スプーンで一通り食事を食べさせるのは、グレンの役目だった。 「神の加護により、悪魔の奸計はついえ、罪人のよこしまな企みは失敗に終わった! しかし、被害者には婦女暴行罪と同等の権利を与える! 罪人の腹に三発までの杭打ちを許可する!」  ティディエの宣言に、群衆が熱狂する。やせ細り、アカの浮いたボロをまとった群衆をかき分け、肉付きの良い豊かそうな家族が現れた。食うや食わずの中世暗黒時代において、血色の良い太ましさは、美である! ちゃんと食べていること。これを豊かと言わずなんと言おう。誰がなんと言おうと、中世において太ましいことは美しいのだ。  おおきく胸のあいたデコルデから豊満な乳がのぞく。泣きじゃくる被害者のご令嬢が家族に励まされ、現れた。何度でも言おう。デブこそが美しいのだ!     
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