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恋愛相談を受けた日
『そんなに好きなら、奪うくらいの気合見せればいいじゃん』
放課後、夕日が差す教室に男子生徒が2人。
どこにでもあるような、恋愛相談を持ちかけた側と持ちかけられた側のやり取りだ。
『いつまでもずーっと後悔するくらいなら、当たって砕けるなり行動を起こす方がスッキリすると思うぞ』
『いやぁAくんの言うことはもっともだけどさ……』
元々大人しい部類の男子生徒Bは、どうにも勇気が出ないらしかった。
サバサバしていて何でも白黒付けたがりの男子生徒Aは、答えが分かりきっているのに未だ悩む相手にも、無駄に感じるこの時間にもうんざりしていた。
そもそも男子生徒Bは男子生徒Aに対し、好きな人の名前すら告げていない。
幼馴染みであるから大目に見て相談に乗っているが、普段なら早々に切り上げるところだろう。
『分かった、じゃあ振られたらさ? 俺が慰めてやるよ』
『どういうこと?』
『もしも告白しても振られたーって事であれば、俺が慰めるから。カラオケでもゲーセンでも行こうぜ』
気のせいかもしれないが、男子生徒Bは嬉しそうに顔を上げたかと思えば、赤面してふたたび俯いてしまった。
『じゃあ……するよ、告白』
ようやく発展したらしい現状に、少しだけ男子生徒Aの気持ちが軽くなる。
適当に考えてきたいくつかの告白のシチュエーションを伝えれば、ついにこの恋愛相談は終わる。
筈だった。
『……すき、すきだ』
『練習?? 気が早くね?』
『ううん、俺が好きなのはAくんなんだよ』
思考が停止して、ポッカリと口を開けている男子生徒Aに構わず、男子生徒Bは尚も言葉を紡いだ。
『どう、付き合ってくれるかな』
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