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「次は…地縛霊の交代要員、と」
メモ帳を見ながら、スケジュールの余裕のなさに溜息が出る。
天界の総務も楽じゃない。今度、本気で転職を考えよう。
「交代理由は…実家のお盆で帰るから?供養してくれる家族がいるなら自殺なんてするんじゃないよ全く」
地縛霊は嫌なのだ。ただ一所にじっとして、何もできない。ただ見ているだけの、苦行。
今も、亡くなったペットを火葬場に置いてきた帰りだろう。女の子が泣いている。そんなに泣かないで。犬が君の周りを心配そうに飛んでいる。君が囚われている限り、犬は成仏できない。そんなことを教えてあげたくても、言葉も出せない。
地縛霊は嫌だ。何もできない…。
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