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「俊英さんとの仲をとりもってください」
……。まあ、よし。
もちろん私も必殺花屋の運び人にお世話になっていて、夕方にはだいたい家にいるカナにスターたちを受け取ってもらっていたことは一度や二度ではない。(もちろん、そのときの取り扱いの注意はA4の紙に裏まで続いた。)
カナは俊英さんに一目惚れだったらしい。私は私で植木鉢の運び方だとか花を勧めるその仕草とか、花と人に対する紳士的な行動に惚れ込んで、花を運んでもらうときはいつでも彼に頼んでいた。
俊英さんなら安心して花を任せられるうえに、カナは嬉々として家にいてくれるから、私としては有難い物件だ。
そういうことだから、俊英さんがうちに馴染むのは早かった。
一人暮らしの女の人が家にいられる時間と言うと、すごく早い時間か、少し遅い時間になる。開店よりも早い時間よりかろうじて閉店間際の時間の方が都合もいい。そういうわけで、閉店間際にまとめて配達に回って、そのまま直帰なんてのも良くある話だ。今日は直帰なんですよー。あらあらじゃあうちでご飯でもいかがですか? という成り行きになるにはさほど時間はかからなかった。
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