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「──いじわる。俺めちゃ早漏みてえじゃん。今度は藤隆が下になれよ」
全力疾走した後のように肩で息をしながら、周防は頬を恥辱に染め西園寺につめ寄った。そして腹の力で起き上がると、彼を押し倒して今度は周防が優位に立つ。
「なんだ、俺にもサービスしてくれるのか」
にやりと頬を緩めながら西園寺が挑発する。負けん気の強い周防の性格を知ってのことだ。当然ながら片眉をぴくりと持ち上げる周防は、「俺より早くイかせてやる」と口を尖らせた。
「じゃあ俺はのんびりと楽しませてもらうか」と頭の後ろで腕を組むと、西園寺は布団に体躯を伸ばしてまぶたを閉じた。
寛ぎ払った態度といい、余裕の振る舞いから彼の経験値が豊富だと嫌とわかる。どれだけの者がこうして眺めてきたのか、西園寺の股のあいだに陣取りながら周防は心を焦がした。
冗談抜きで彼の一物は立派なもので、一度でも行為を交わした者は忘れることができないだろう。今は自分のものだと分かってはいるもの、過去の影が脳裡を掠めて胸がざわめく。
そんな女々しい妬心をふり払いながら、反り返る屹立の根元に手を添え口を近づけた。
先ほど浸かった温泉の味を舌に感じ、それがまた周防を淫猥な気分にさせる。元彼から積極的に行為を求められたおかげで、周防は口淫には自信があった。
猛々しく脈を打つ彼の昂りはひと呑みにすることは叶わないが、けれどその分を凌駕するだけのテクニックでカバーすればいい。
しかも同じ男なのだ、どこを攻めてやれば心地いいかは手に取るようにわかる。下から上へと舌を這わせて怒張に愛撫を施してゆく。
「っ……」
西園寺の口から吐息がこぼれる。
気をよくした周防は手で双球を優しく揉みしだき、触れるか否かの距離感を保ちつつ舌の先を隘路に這わせて焦らしてやる。すると期待と我慢が相まって、鈴口よりしずくが溢れだす。
それを舐め取りながら屹立に舌を絡めて先端へと上ってゆく。
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