3人が本棚に入れています
本棚に追加
そうして、棚の陰に重なるように姿が一瞬見えなくなると同時、そのまま男の姿は店内から消え失せいなくなってしまうというのだ。
トイレを確認しても誰もおらず、入口の自動ドアが開いた音もなく、客の姿だけが忽然と消えるというこの不可思議な事態が毎日続き、最初の数日は気味が悪く店長にも言えずにいた友人だったが、さすがに黙っていられなくなり、一週間が過ぎた頃に思い切って早朝の出来事を打ち明けた。
すると、店長もその男の存在は知っていたらしく、「害はないから気にしないで」と少し困ったような表情で告げられただけ。
それからも友人は半年ほどそのコンビニで働いていたが、謎の男は毎日同じ時間に現れ続けたという。
バイトを辞めて暫くして、友人はある話を耳にした。
バイトをしていたコンビニの比較的近くにある古いアパートで、独身男性が孤独死しているのが発見される出来事があったらしく、その男は夜に工場で働いていることが多く、朝方にコンビニで買い物をして帰ってくる姿を近隣住民に目撃されることが何度かあったのだという。
その男が亡くなった時期が、友人がバイトを始める数週間前。
最初のコメントを投稿しよう!