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そして・・
『◯月△日のニュースをお伝えします。
××年ぶりに関東を直撃した大型地震は、多くの地域に酷い爪痕を残しました。
崩壊した建物の中では、いまだ多くの人々が助けを求めているとー・・』
自室のベッドの上で私が発見されたのは
地震発生後、ゆうに1週間もの時間が経った後だった。
積み重なる瓦礫をどかし、ようやくたどり着いた見る影もない私の自室。
その中は、固定がされていなかったであろう家具や荷物が所狭しに散らばっていた。
その時最前線で活動をしていた救助隊の男は、その惨状を次のように語った。
「一番どかすのに苦労したのは、やはり、あの大きな本棚ですね。
天井に付くほどの高さのものが3つ。それに、多くのガラスケースが近くにあったのでしょうか? それらが落ちたのか、彼女の周りには無数のガラスが飛び散っていました」
「家具の固定が少しでもされていたなら、もしかしたら彼女は・・ 」
「でも、家財に押しつぶされたとは思えないほど、その死に顔は安らかだったんです」
大きな家具に下半身を押しつぶされ、大量のガラス片で傷つき汚れた私の体。
その周りには、私が愛した男達の居る本の数々。
そして、その男達を模して作られた造形物や日用品が所狭しと転がっていた。
その一つをギュッと胸に抱いてこの世を去った私の生前は、
この世に存在しない二次元の彼を愛す、生粋のオタクだったのだ。
崩れ落ちた恋人たちと共に、私は永遠の眠りについたのだったーー
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