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しばらくして、奥からおばあさんが出て来た。今日はカラオケには行かなくて良いんですかと聞いたら、他の友達がダウンしてしまったらしい。なので、夜のバラエティ番組を観ていたそうだ。
「今の、サユリちゃんだね?」
「はい、そうです」
「ずいぶん明るい顔をして帰って行ったね。やっぱりアオちゃんにお店を任せて良かったよ」
「そんな……僕は、自分の経験をもとに、サユリさんにアドバイスしただけですよ」
「それが良いんだよ。アオちゃんの正直な気持ちがあの子に真っ直ぐ伝わったんだね」
そうなのだろうか。
僕には良く分らないが、おばあさんのお墨付きがあるから間違いないのかもしれない。
僕は、サユリさんが出て行ったドアをもう一度眺めた。
次に彼女がやって来るときは、今日よりももっと素敵な笑顔を見せてくれることを願って――。
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