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 なんとか二人で店まで辿り着いた。  僕は男の人にソファーに座るよう言った。そして奥に向かっておばあさんを呼んだ。 「はいはい、どうしたのこんな朝早くに」 「それが、あやかしを拾ってしまいまして」 「あやかしを拾った? どういうことなの?」 「詳しくはこっちへ……」  僕はおばあさんをソファーまで案内した。すると、おばあさんは驚いたように目を丸くして言った。 「まぁ、ヨヤミちゃん! どうしたのこんな昼間に!」  どうやら知り合いのようだ。そういえば、僕のことを美容院をやっていると言い当てたっけ……。 「マダム、お久しぶりです……。あぁ、日光にやられてしまって」 「こんな時間にうろうろするからよ! まぁ、こんなに顔色を悪くして!」 「……これは生まれつきです」  ヨヤミさんは、横になっていたソファーから起き上がり、だるそうに頭を押さえた。とてもつらそうだ。僕は、預かっていたエコバックを彼に差し出した。 「これ、どうしましょう?」 「あぁ、すまないね……。そこに置いておいてくれるかな」 「わかりました」  僕はテーブルの上にエコバックを置いた。入っていたトマトが、ぐらりと音を立てる。
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