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「それで、数多くのパーティーに呼ばれるんだ。特別ゲストとして。皆がよろこんでくれるのは良いんだけれど、一昨年だったかな……。一日に五件の仕事をハシゴした時はさすがに疲れたよ」 「仕事? パーティーに呼ばれるのがお仕事なんですか?」 「そう……。イベント会社で働いていてね……。普段は裏方なんだけれど、ハロウィンの時期だけは表舞台に立たされるんだ。まぁ、その分お給料が増えてラッキーなんだけれど」 「そうなんですか……。大変ですね」 「大変だけれどやりがいはあるんだ。君もそうだろう?」  鏡越しにヨヤミさんと目が合った。  大変だけれど、やりがいがある。  そうだ、だから僕はこの仕事を続けている、のかもしれない。一度辞めてしまって、成り行きでまた美容師として働いているけれど、それは苦痛ではない。むしろ、明日のことを考えることが多くなった。これは大きな進歩ではないか。前の職場では今日が終わることばかりを考えていたというのに……。 「そう、ですね……。まだ、そういった実感がちゃんと湧いてこないのですが、僕も、しっかりとしたやりがいを見つけられるよう努力していきたいと思います」 「ふふ。期待しているよ」  僕はヨヤミさんの髪を切り終え、鏡で確認してもらった。 「このくらいで大丈夫ですか?」 「ありがとう、これならハロウィンまでもちそうだ」 「では、シャンプーとトリートメントをしますので、もう一度シャンプー台へお願いします」
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