ボタン

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思った通り、高校時代のブレザーは俺の体を当時のように包み込んだ。 姿見の前に移動して、格好だけ若返った上に乗っかる顔を見詰める。 目の前にいる自分は幾分老けたのだろうか。 卒業してから数年のはずなのに、あの頃と同じようには見えない。 記憶の中の自分を探し、両脇のポケットに手を差し込む。 すると、つるりとした何かに手が触れた。 取り出してみると、それはボタンだった。 象牙色の滑らかな光沢を持つボタン。 捨てることも出来ずに、あの時のまま眠っていた。 まるで糸を手繰るように、するすると引き出されていくのは記憶か、想いか。
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