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突然頭上から声が降ってきました。
僕が顔を上げようとするより早く、あなたはすいとしゃがみこみます。
同じ高さのあなたと僕の視線がぶつかったけど、直ぐにその瞳から逃げてしまいました。
ふわりと、柑橘系の香りが鼻に届きます。
甘すぎない優しい香りを、僕は知っている気がしたのに、この時は思い出せませんでした。
あなたは僕の顔を見るなり、まるで有名人に会ったかのように明るい声を出したので驚きました。
「あれ、君、新入生の代表の子じゃない!」
「すみません、すぐに戻りますから」
僕は目を合わせないまま、逃げるように立ち上がろうとします。
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