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問いに答えるならば、これは癖です。
恐らく僕が生まれたその時から染み付いている習性です。
僕の行動や発言には、常にこの言葉がつきまといました。
『恵一に比べたら』
『恵一さんは優秀なのに』
『恵一くんの弟さんの』
誰も僕の名前を呼びません。そもそも、知らないのかもしれません。
でもそれが普通でした。
僕はいつだって兄の付属品で、正確に言えば欠陥品でした。
誰も、僕を僕として認識してはくれません。
兄を嫌いになれれば少しは楽だったのかもしれませんが、僕にはそれが出来ませんでした。
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