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「ねえ、大丈夫?」
「え?」
「顔色悪いわよ、体冷えたんじゃない?」
その言葉と同時に、強張っていた体がふわりと覆われました。
紺色のカーディガンが、僕の体を包んでくれます。
先程よりも濃く、あの香りが鼻に届いて、籠った熱がじんわりと体に伝わってきて。
僕は熱を出した時のようにぼんやりしてしまいました。
「風邪ひかないようにね、挨拶楽しみにしてるわよ!高槻宗次君」
あなたは目尻を下げて微笑むと、その場を去ってしまいましたね。
知らないでしょうし、言わないけれど。
あの時僕は、呼吸の仕方も忘れそうになっていたんですよ?
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