うち、やっぱり、威さんが好き

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うち、やっぱり、威さんが好き

それから数日。 威さんは来まへん。 うちも会いに行く勇気なかったんやけど。 そしたら、夏休みに入って、まきちゃんが朝早くに、うちの家にとびこんできました。 「聞いた? さなちゃん、今日、結納なんやって!」 「ええーッ!」 結納? いつのまに? さなちゃん、まだ十六え? うちと同学年なんやもん。年はごまかしてへんかったはず。 「結納? 誰となん?」 まさか、威さんやないやろね? でも、まきちゃんが言うには、 「銀行の頭取の息子さんやって。さなちゃん、べっぴんさんやから、前々から話はあったんやって」 なるほど。ほんで、さなちゃん、強引に威さんに……。 うちは、まきちゃんと二人、さなちゃんの家にかけていきました。 「さなちゃん! 結婚するって、ほんま? 結納なんやって?」 おさななじみの家やさかいにな。 家の間取りは、よう知っとります。 八畳ほどの客間に、晴れ着を着た、さなちゃんがすわっとりました。お相手は、よかった。まだ来てへん。 さなちゃんは、うちとまきちゃんを見て、さみしそうに笑いました。     
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