むむむ、胸に穴が…

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あははと楽しそうに笑う威さんに見送られて、女湯のなかに入りました。 女湯には、同級生の早苗ちゃんや真紀代(まきよ)ちゃんが来てましたん。 うちが不機嫌な顔しとったんでっしゃろな。 「みやちゃん。どないしたん? えろう、ふくれとるやん」 「みやちゃんは威さんと会うと機嫌悪うなるんよねぇ。乙女心は複雑やなぁ」と、二人はからかってきました。 「そんなんやないえ。うち、威さんのことなん、なんとも思ってへんもん。威さんが変わり者やからや」 「変わり者? 東男やし、京のことはよう知らんやろうけど。うちは、ええ人やと思うわ」と、さなちゃん。 さなちゃんは成績もよくて、大人っぽくて、美人なんどす。胸のふくらみも、うちより大きいような……悔しいわぁ。 さなちゃんは、どうも威さんのことが気になっとるみたいなんよね。 「でも、ほら、このへんが……」 うちは思いきって、胸のあたりを手でかざします。けど、二人は首をかしげました。 「うーん? そやねぇ。うちのお父はんより胸板は厚いわ。みやちゃん、逞しい人がええんやね」 まきちゃんはケラケラ笑います。 うちは、ほおが、ぼっと熱くなるのを感じました。 「そうやのうて、このへんに穴があいとるやん?」 さなちゃんと、まきちゃんは、おたがいの顔を見あわせました。     
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