第1章

6/6
前へ
/6ページ
次へ
そこまで考えた思考が中断する。排水溝から引き上げられた物体のように、腐った臭いが鼻をついたからだ。 どんどん、臭いは強烈になる。心臓が跳ね上がる。手を振っていた、警官の顔も蒼白になっていった。 臭いの元が、二人のすぐ後ろ、丁度真ん中に位置する場所にいる事は、すぐに分かった。 あまりにも、ひどい臭いに鼻がもげそうだ。  二人の間を掻き分けるように、第三者の両腕が真っ直ぐに伸ばされる。 二人は見てしまった。肉はただれ落ち、骨がうっすらと見える。指先には、うじのような物も湧いていた。 目の前にいた、警官はとっくに逃げ出していた。自分達は、足が歩道にへばりついたかのように動き出せないでいる。 うじをぼとぼとと、落としながら、二人の肩を叩く。背後からこの世の者とは思えない、声が響いてきた。 「今まで、僕と一緒に遊んでくれてありがとう。これからも、よろしくね」 日はとっくに落ちており、気温も下がっていた。しかし、二人はとめどなく溢れる汗を拭う事が出来ない。 自分達の意思とは反発し、震える足取りで、また、遊び場へと向かって行った。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加