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どーん!というものすごい地ひびきと共に谷底の川原に落ちたのは、黒い大きな玉でした。
玉のあちこちからシュー!と白いけむりがふき出したかと思うとガクン!と音がしました。
てっぺんの方から、みかんの皮をむくみたいにその玉が割れて、中からやりを持ったカルタたちが出てきました。
「ふふん。あれがウワサに聞くカルタどもか。こちらから出向く手間がはぶけたな。向かうのはもう少しこのあたりを見て回ってからと思ったのだが、ちょうど良い。あいさつでもしておこうか」
男はたずなを引き、馬はそれに合わせてガケの間の道を谷底へ下っていきました。
カルタ兵たちは細いやりを器用に使い、川原に道を作っていました。
小石と砂でデコボコの川原はたたいて平らに整え、木があれば切りたおし、枝があればなぎはらい、川の水を飲みにきていた動物たちはけちらしました。
「急げ! わが女王がお待ちだ!」
カルタたちの後ろからどなり声を上げているのは、あのいめがのじょうでした。
カルタたちはその声にあわてて作業を急ぎはじめましたが、先頭でやりをふるっていたカルタがふと手を止めました。
「どうした!」
それに気がついたいめがのじょうがやってきました。
「どうした! 急がぬと日が暮れるまでに今日の予定をこなせぬぞ!」
もう一度聞きますが、カルタはまっすぐに前を向いたままじっとしています。
いめがのじょうがカルタの見ている先をふり向くと。
そこには馬に乗ったひとりの男がいました。
「何ヤツ! 女王様の作業隊と知って道をふさぐか!」
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