血塗れのロードデンドロン

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ーーーーー 「警部。取り調べ終わりました」 若い警官が、疲れと年季を滲ませる初老の男に声をかける。 ああ、と返事をして、警部と呼ばれた初老の男は黒い珈琲の缶から口を離す。 そして、深いため息をついた。 「まさか、あんな少女が連続殺人事件の犯人とはなあ・・・」 取調室の椅子に座っているのは、地味で大人しそうな少女。 人どころか、虫も殺せなさそうな佇まい。 その少女が、数多の人間───多くは同校の女生徒───を殺してバラバラにして捨てたのだから。 警部の驚きも最もだろう。 「この前の、女の子が電車に轢かれた事件あったでしょう。あれもあの子が下手人で間違いないかと」 ちら、と怪物を見る目で少女を見る若い警官。 当の少女は、花の咲くような微笑を浮かべている。 「ね、刑事さん」 微笑を、うかべた少女はこちらに向かって語り掛けてくる。 ひっ、と若い警官の悲鳴。情けない奴め。だが無理もないだろう。 「私─────私。上手く裁けたんです。私の神様のために。私の女王様の為に」 「姫石さんの為に・・・」 少女は恍惚とした笑みを隣に向けた。  「あのなあ。お嬢ちゃんよ。」 この事実を、少女に伝えてしまうのは残酷かもしれない。 しかし、伝えなければ少女は繰り返すだろう。 歪みに歪み切った憧憬と恋心をギロチンにした『断罪』を。
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