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「あんさぁ……自分がやられて嫌なことは他人にはしちゃいけないって習わなかった?」
口調だけは落ち着いているものの、呆れたような顔で自分を見下ろす冷めた目を見れば、言い返すことなどできるわけがない。
目を逸らし、顔を俯かせる長屋の頭頂部に向けて、康太は更に続けた。
「コイツとアンタは別に個人でCROSSのID交換したことねーよな? ってことは、アンタ。クラスのグループCROSSからハナエの個人IDをわざわざ選定して送ったってこと?」
彼の一言で、ただの女同士の些細な諍いだと静観していたクラスメイト達も何事かと騒めき始めた。
「え? なに? 長屋がなんかやらかしたわけ?」
「連絡用のグループCROSSを悪用したってこと?」
「三野山に嫌がらせするなんて、アイツ、度胸あるよな」
「ばーか。度胸っつーか、三野山はああ見えて、基本的にあんま怒らねーから、小馬鹿にされたんだろ」
二人の間に何があったのか、詳しく知らない彼らは、触りだけを聞いただけで、自分達の都合のいい解釈をし、好き勝手なことを言い始める。
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