②CAUSE

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 やんややんやと周囲が騒ぎ出すと、事の発端である長屋は、非があるのは自分自身だと分かっているだけに、背中を丸め縮こまった。 「ちょっと……何を送ったのかわかんないけど……三野山さんに謝ったら?」  傍にいた大橋が小さくなった長屋に寄り添った時三野山と仲がいい森末(もりすえ)実夕(みゆ)と、柏木(かしわぎ)(れい)が近付いて来た。  ついさっき登校してきたばかりの二人は、康太の言葉を耳にし、英恵が長屋から何かされたのだと察したのだ。 「大人しい顔して、陰でコソコソ嫌がらせメールするなんてサーイテー」 「ちょっとソレ貸してよ。えっとお、なになにぃ……これは、絶対に――あれ、これって……」  二人は、長屋に厭味を言いつつ英恵の手からスマホを抜き取り、それを読み始めた瞬間、縮こまっていた長屋が弾けたように顔をあげ、そして、大橋が止めるよりも先に、英恵のスマホを持つ二人に飛び掛かった。 「やめてって言っているでしょぉっ!」  普段、教室の隅っこで大人しくしている人間の鬼気迫る様相に圧倒された玲が、驚いて仰け反った隙に、長屋は彼女の手からスマホを素早く奪い、廊下へ飛び出していった。
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