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何度も何度も繰り返し画面に表示されたメールを読み返す三人は、中々気が付かない。
その様子をじっと見ていた長屋は痺れを切らしたのか、とうとう自ら答えを告げた。
「メールだっていうのに、【この話を読んでから】じゃなく【聞いてから】ってあるでしょ」
彼女の言葉に全員がハッと顔を上げた。
よくよく思い返せば、メールを受け取った英恵や実夕。
メールの内容を読んだだけの康太。
メールの内容を全て聞いたわけではなく、「ハナコ」の存在だけを聞いた瑛士。
無事な彼らは皆、チェーンメールの内容を【聞いた】わけではなかった。
「そういうこと。ハナコの呪いはメール自体にかかっているわけじゃないの。ハナコの話を聞いた人間にかかるようになっているの」
ニタリと笑う長屋の顔は醜く歪んでいた。
「子供が一番愛情を欲しがる相手は母親でしょう? 成仏できずにこの世を彷徨っていたハナコも、母親の傍にずっといたんでしょうね。そこで母親の愛情と後悔、憎しみといった様々な感情が入り混じって出来たチェーンメールの内容を読んだ彼女は、母親の【言いつけ通り】に行動してるんでしょうね」
「じゃ……今、アタシが話しちゃったから、コータやエイジくんは……」
「そうね。呪いにかかっちゃったわね」
大声で狂ったように笑う長屋に反して、「ふざけんなっ」「オマエ、何が目的なんだよ」と怒鳴る二人。
彼らに掴みかかられた彼女はケラケラ笑いながら叫ぶように言った。
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