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内容は「これを読んだ人は●●人に必ず話を回してください」「転送してください」といった常套句が付け加えられた、使い古されたようなチェーンメール。
「なにこれ。アホらし」
呆れたように息を吐いた英恵は、荒々しくスマホを枕元に放り投げた。
チェーンメールとは、元々、この手紙を回さないと不幸になるといった「不幸の手紙」のメール版。
はっきり言えば、受け取った相手に勝手な転送を押し付ける『迷惑メール』でしかない。
そんなものを仲のいい友人や、トラブルになりたくない相手に送れば、後々その関係に悪影響を及ぼす可能性が大きいので躊躇するが、どうでもいい相手には軽い気持ちで送れてしまうもの。
要するに、長屋にとって自分は“嫌われてもいい相手”だと認定されたことになる。
学校カースト内において、英恵は上から二番目の位置にあたるグループに所属していた。
そこそこ派手で目立つタイプのメンバーが揃っており、教室内での発言力もある自分達に対し、長屋が入っているグループは、本人も含め、ごくごく普通で、どちらかというと真面目で大人しめな子達が集まっていて、底辺から二番目か三番目に位置している。
格下だと思っていた相手から馬鹿にされたように感じた英恵は、睡眠妨害された怒りよりも、長屋に対する怒りの方が大きかった。
「明日……おぼえとけよ……」
小さく舌打ちすると、英恵は再び眠りの海へと意識を飛ばした。
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