6人が本棚に入れています
本棚に追加
第1話 きっかけは「続きが読みたい」だった
結局、玲音からはっきりとした答えを聞くことはできなかった。はっきりとしたというより、俺が期待したといった方が正しいか。玲音の出した答えは「今のこの関係は楽しいと思ってる」という、グレー色極まりないものだった。
つまり何だよ。本当に付き合う気はないけど、この関係は続けたいってことか。
「むかつく」
思わずそう口に出た。あの昼のことを思い出していたからだけじゃない。玲音がゲーム部の連中と何やら楽しげに話している姿を目の当たりにしたからだ。
「お前、何でこんなレアなもんばっか持ってるんだよ」
「いやー、バイト先の人にもらったんだけど、食べる勇気がなくて」
「俺たちは毒味役か──て、片瀬」
玲音の前にいた男子──おそらく貴篠という奴──が俺の存在に気付き、それを伝える。くるりと振り返った玲音は不思議そうな顔をしながら近寄ってきた。
「あれ?今日バイトじゃなかったっけ?」
「もう行く。けど、ちょっといい?」
最初のコメントを投稿しよう!