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懇願するかのような口調に、さらに戸惑いが増した。頭の中がうまく整理できず、思ったことを口に出してしまう。
「違うだろ。……いや、言ってることはわかる。でも、なんか違うだろ、それ。俺──そんな難しいこと言ってるか?」
「え?」
「俺が他の奴と仲良くしてもいいってことはさ、つまり──お前にとって俺は、その程度だってことなんだろ?」
ヤバい。もう答え出てるじゃねーか。しかも自分で答え出すなんて、笑える。いや、笑えねーか。
「ちが……違うよ!そういう意味じゃなくて……ごめん、深読みしたっていうか、部活やめろって言ってるのかと思って……」
「悪い。もう、バイト遅れる」
そんなことを口実に、俺はその場から逃げ出した。
──玖堂有羽著「初恋」
「はー、おもしろかった。特にこのシーン好きなんだよね。ね、何で続き書かないの?」
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