第2話|小説を書くって奥が深かった

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第2話|小説を書くって奥が深かった

 私は小説を書いたことがないから「続きが書けない」という感覚がよくわからなかった。  有羽の書いたこの小説は、彼女がいるにも関わらず女子から誘われたら簡単に遊びまくるという男子が主人公の恋愛ものだ。  そんな主人公に悩んでいた彼女は、他の男子に相談をしていて、そのうち恋心を抱いてしまう。物語の始まりは、それを知った主人公が彼女をフるところから始まっていた。  ヒロインはそれに巻き込まれる形で主人公と付き合うふりをするのだけど、主人公はそれからどんどんヒロインに惹かれるようになる。  有羽は初め『初恋は実らない』を皮肉ってみたかったと言っていたんだけど……それなら主人公がフラれる終わり方で問題ないはず。 「付き合わないって終わりじゃダメなの?」  思ったままを聞くと、有羽は更に考え込むような仕草をとってうなり始めた。 「それだと、ちょっとヒロインがやりすぎたっていうか、小悪魔通り越して悪魔だなって思って。付き合うフリとかお弁当を毎日作ったりしてるのに、本当は好きじゃありませんて酷くない?勘違いさせるようなことしておいて、それはないなーと。そう思ったら書けなくなっちゃった」 「え?そんなもんなの?別に平気じゃない?」  やっぱりその感覚がわからない私は、ありのまま質問をぶつけた。
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