遺書

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 上司や先輩の気分ひとつで、昨日の命令が今日変わる。昨日の指導が今日変わる。昨日の結果が今日は無意味。よくあることです。  よくあることだけに絶望するのです。このようなことが、社会人である限り、永遠に続くのかと冷静に考えますと、ただただ絶望するのみです。  ああ、それにしても……今ここまで書いたらまた思ったけれど、どうしてこう、昔というのは忘れられないのでしょう。どうして私は、もう何年も前の、会社員時代に出会った嫌な上司や先輩を忘れられないのでしょう。  さらに思えば私は、学生時代にからかわれたことさえ未だに憶えております。自己主張の失敗で批判されたことさえ未だに記憶しております。トラウマです。はっきり言って恨んでおります。  何故でしょう。うんざりです。自分で自分の脳みそを殴りたくなります。もう今さらどうしようもないことです。  何年も何十年も前の恨みや怒り、失敗談など、もうどうしようもないのだから、忘れてしまえばいいのに、こらえてしまえばいいのに、私にはそれができなかった。それができない。どうしてもできない。     
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