始まりの日

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子供の頃から「死」はわりと私の身近にあった。 最初は駄菓子屋のおばあちゃん。 赤い屋根の小さなお店、いつも入口そば置物のようにちょんと座っていた。たまにミルキー飴をくれたのを覚えている。 その姿が突然消えた時・・モヤモヤとした違和感は私の中でしばらく消えずに居座り続けた。 二番目は中学年生時、隣のクラスの林田さん。 ふわふわとした茶色い髪と大きな瞳が印象的な女の子。キョロキョロと私のクラスをのぞき込んでいる彼女と目が合った。 「教科書借りても良い?」が最初の会話。人懐っこい笑顔に「うん」と頷いた。 たまに教科書を貸すだけの関係だった彼女は居眠り運転の車に巻き込まれ、仲良しになる前にあの世へ行ってしまった。 それから親戚の叔父さんやひいお祖母ちゃん。 何度か「死」を身近に感じたことはあったけど「これは何だろう?」目の前には見慣れたパジャマを着た2本の脚がプランと浮いている・・・。
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