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良く見てみると、私から武史にあげた手紙、二人で写った写真等がたくさん、たくさんあった。思わず涙が零れてきた。
手帳は開いていいのか良く分からず、
「この・・手帳は開いていいのですか?」
「いいわよ。これ、すべてあなたにお渡ししたいなと思って。」
「えっ!でも、これは武史さんの遺品じゃ・・」
「だからこそ、あなたに持っていてもらいたいのよ。・・迷惑かしら?」
思わず、箱をぎゅっと抱きしめる。
「いえ、大切にします。本当にありがとうございます。」
「良かったわ。・・あら、私ったらお茶も出さないで、ごめんなさいね。今用意しますね。」
「あ、いえ!私も手伝います!」
「いいのよ。ゆっくり、その箱の中の物でもご覧になってて。」
「ありがとうございます。」
武史の母がお茶を用意している時に、手帳をパラパラと見てみる。相変わらず、私よりも綺麗な字だな・・と懐かしんでいると、ふと気になる事が書いてあるページがあるのを見つけた。
○月×日
今日もあの男が来た。明美と別れろと迫ってきた。この前行った遊園地にも来ていたらしい。どうしたら明美を守る事が出来るのだろうか・・。明美の身に何かあってからでは遅い。警察に相談しよう。
・・・え?何これ。
遊園地。そういえば、一度だけ遊園地に行った事がある。その時に撮った写真も、お互い気に入った一枚があったので焼き増しして二人で持っていようという事になった筈だった。
あの男・・あの男って誰・・?
そう思った時、ある言葉を思い出した。
『お前は三年後、恋人が死んだ日と同じ日に事故にあって死ぬ。絶対だ。』
ざわっと鳥肌が立った。
そういえば、あの夢の中の男が言っていた日。
今日だ。
・・いや、でも夢だ。
手帳を閉じ、遊園地に行った時の写真が無いか探してみる。
あった。
何枚かあったので見ていると何か違和感がある。
よくよく見てみると全部の写真に私達の他にももう一人、同じ人物が写っているのだ。しかもカメラ目線で。
遊園地の時の写真は、武史が一枚しか焼き増しをしてくれず、「後は俺が持っているから」と言って持っていたはずだった。
・・・そういえば、ベッドサイドに飾っていた写真、遊園地で撮った写真だ。あれ、なんで・・飾るの止めたんだっけ・・?
・・え、まさかあの時見つけた男・・!
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