戦争の歴史、影に埋もれし者

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November.21【国際復興支援の急務】  支援が間に合わず、餓死者の数が増加しつつある現状を憂いてオーブ連合首長国のカガリ・ユラ・アスハが国際的復興支援の拡大を各国に呼び掛ける。 宇宙資源を潤沢に保有するZ.A.F.Tは呼応に快諾の意を示すが、死の商人の壊滅とB.T.Wによる地殻変動の影響から未だ脱却が出来ていない地球連合諸国からは支援以上の約束が得られず、必要な物資支援を行うに留まり、国家の枠を越えた協力は敷けていない。 ──補足──  このとき、カガリ・ユラ・アスハにより停戦協定の雛形が各国に届けられており、内容は以下の通りである。 1)前大戦に於いての犯罪者は各国の刑罰に則って処罰する。 また、他国が処罰内容を決定することは原則認めない。 戦時中に所属を移した者については最終的な所属国家が処罰をする。 このとき、情状酌量の余地がある場合には最大限尊重をすること。 2)各国とも核動力駆動機及び隠匿用ミラージュ・コロイドを用いた機体の凍結を宣言する。 この際、内部資料を全公開した上で凍結は代表者の目前で執行する。 3)民間人が居を構える地域での戦闘行為は非常時であれど禁止とする。 所属不明機等による市街地の強襲の場合、各国は即座に鎮圧に奔走するとともに、施設等の損壊を招く光学兵器は使用を禁ずる。 4)各国は所属国家の主権回復を認め、独立の意思を妨げてはならない。 武力行使による威圧行為も上記に含むが経済圏形成等は各国の裁量に委ねる。 5)この停戦協定を許諾する場合、マーシャンよりレアメタル供給を確約する。 なお、この支援物資は全て発電に充てるものとし、機体への搭載は全面的に禁ずる。  ~エスタ・オリス・トウハによる手記~  この内容に関しては秘密裏に会合を繰り返して譲歩を重ねた結果という噂がある。 真実を知る術はないが、この内(4)は地球連合内で大西洋連邦の発言権がさほど回復していないという不誠実な事実が存在するものの、黙殺された為か諸外国には認知されていない。 つまりはユーラシア連邦主軸の体制に変化はなく、実態はオーブ連合首長国の同盟脱退を承認する程度の効力しか存在しない項目であった。 ──補足終了──
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