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七夕の夜、夏祭り当日。
良く晴れた空にはまだうっすらと太陽の赤みが残り、それを追いやるように群青が迫っている。その青の中には、微かに星の輝きが見えた。
僕は神社の社の屋根に座って、神社の笹に短冊を飾りに来た人たちを眺めていた。
まだ短冊を飾っていない人たちはその場で願い事を記し、既に願い事をした人たちは、他の人の短冊を眺めて話に花を咲かせていた。
僕は人の願い事を叶えることは出来ないが、誰がどの短冊に願いを記したのかは見てわかる。
途切れずやってくる人々の中から、僕はあの白い短冊に願いを記した人を探していた。
祭りの会場でもある広場にも行ったのだが、流石に人が多過ぎて早々に諦めた。
既に短冊は飾ってあるから、また此処に来てくれるかどうかはわからなかったが、僕はその人が来てくれるのをひたすらに待った。
その時は突然やって来た。
僕が数え始めてからちょうど二十組目。若い女の子のグループだ。
浴衣姿の女の子三人と、青いワンピース姿の女の子一人。そのワンピースの女の子が、僕が気になっていた、白い短冊に願い事を記した人物だった。
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