七夕の夜に願うこと

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 どうやら、四人のうち一人が、まだ短冊に願い事を記していなかったようだ。  短冊にさらさらと何か願い事を書いて、笹に吊るす。  このままでは行ってしまう。でも、どう声をかけたらいいだろう……。  そう思っていると、ワンピースの女の子が口を開いた。  「ごめん、みんな。ちょっと人混みに酔ったみたいだから、少し休んでいくね」 「え、大丈夫? 一緒に居ようか?」 「大丈夫。良くなったらすぐ合流するから」  彼女はそう言って、他の三人を神社から送り出した。  友人の姿が完全に見えなくなり、神社に一人きりになってから、彼女は一つ息を吐き、笹の前に移動した。彼女の短冊が飾ってある笹だ。  「あの」  彼女が短冊を手に取ったのと、僕が彼女に声をかけたのは同時だった。  「あなた、誰? 何でそんなところに居るの?」  驚いた顔で僕を見上げながら、彼女がそう聞いてきた。  「僕は一応、この神社の守り神なんだけど……なんて言われても、信じられないよね」 「……本気で言ってるの?」  彼女は僕を睨んで言った。  「それで、その守り神様が、私に何か用?」 「いや、用ってほどでもないんだけど……その、君が書いた短冊を見てからずっと、君のことが気になってたんだ。少し、僕と話をしていかない?」     
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