七夕の夜に願うこと

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 『願うことが見つかりますように』  そんな願い事を見るのは初めてのことだったので、何となく気になっていたのだと言うと、彼女はそのままの意味なのに、と言って少し笑った。  「私ね、前に友達と……さっき一緒に来てたうちの二人と、短冊を飾りに来たの。でも、二人がスラスラ願い事を書いているのに、私には何一つ、願い事が思い浮かばなかった」  彼女はそこまで言って、一度僕を見た。  「私の話、誰にも言わないでね」  僕が頷くと、彼女は再び話し始めた。  「私、時々すごく、生きていることがしんどくなるの。辛くて苦しくて、死んでしまいたくなる。何か明確な理由があるわけじゃないけど、明日が来るのが怖いの」  彼女は自嘲気味に笑った。  「死ぬこともすごく怖いから、本当に死んだりはしないけど。でも、そういうふうに考えている時って、逃げ場がないの。ずっとループして苦しいまんま。未来のことなんてわからないし、それが不安で。……でも、本当は変わりたいの」  彼女の声は、少し震えていた。     
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