21人が本棚に入れています
本棚に追加
私、広崎梨奈 (ヒロサキ リナ)は、好きな男の子と話すのが苦手だ。
他の男の子とはそれなりに話せるのに、好きな男の子の前ではいつもフリーズ(凍りつく)して、固まってしまう。
顔の表情も、体の動きも、声も、全部。
もしかすると、呼吸も少しくらい止まっているかもしれない。
唯一、頭の中の思考回路だけは動いているが、好きな男の子を前にしてどうやって接すればいいのか分からず、
早く何か喋らなければ、と思えば思うほど、頭の中がパニックになってしまう。
そして、いざ話しかけようと脳に命令を下しても、緊張しすぎて声が出てこない。
好きな人を前にすると、いつもフリーズしたまま声も出ず、動くことも出来なくなってしまうのだ。
************
始業式の日の朝。
張り出されたクラス発表の紙の前に、みんなが群がっていた。
私も、少し後ろから自分の名前を探す。
2-Aと書かれた紙に『広崎 梨奈』の名前を見つけた。
次に私が探した名前は、『加瀬 功太』。
加瀬功太(カセ コウタ)くん。
私の好きな人。
1年生の頃からずっと片思いしてる人。
「あ…」
あった。
2-Aの紙に、加瀬くんの名前を見つけた。
偶然にも、1年生の時も同じクラスだった加瀬くんと、また一緒になれたのだ。
思わず顔がほころぶ。
次に、親友の『森島さつき』の名前を探そうとした時、クラス発表を見ながらワイワイ騒いでいる集団の中の1人が、クルッと振り返った。
――加瀬くんだった。
最初のコメントを投稿しよう!