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「え…あ、ほんとだ。良かったー、さつきとまた一緒で。」
チラッとクラス発表の紙に目をやり、私の名前の数人後ろに『森島さつき』の名前を確認する。
「……。梨奈、今、確認したでしょ。」
「……ごめん……」
「ひどーい。私なんて、自分の名前より先に、梨奈の名前を見つけたんだよっ。」
クラス名簿は五十音順に並んでいるので、「ヒ」から始まる私と、「モ」から始まるさつきでは、
私の名前が前に書かれている。
名簿の最初から順番に名前を見ていったさつきは、自分より先に私の名前を見つけたらしかった。
「だから、ごめんってば。次はさつきの名前を探そうとしてたんだよ。」
「うう。加瀬くんに順番を抜かされるとは……」
「いや、加瀬くんが抜かした訳じゃなくて、私が…」
「俺が、何?」
いつの間にか、加瀬くんと長谷部くんが私達のすぐ側に立っていた。
……ど、どうしよう。
さっきみたいに2人きりじゃない分、私のフリーズ具合もましだけど、
取りあえず声は……出ないみたい。
私がフリーズしている事を知っているさつきが、助け舟を出してくれた。
「今ね、梨奈と一緒に、加瀬くんもまた同じクラスだね、て話してたの。ね、梨奈。」
声は出ないので、コクンと頷いて何とか返事をする。
「え…あ、ほんとだ。森島、またよろしくな。」
加瀬くんはクラス名簿に目をやってから、ニコッと微笑んだ。
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