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家に帰って制服を着替えてから、携帯を開いて恋助さんの小説の更新状況を確認する。
今日はまだ、更新されていないようだった。
しおりを開いて、昨日の夜にも読んだページをもう一度読んでみる。
「いいなあ……」
思わず、ポツリと呟く。
小説の主人公の女の子が、大好きな彼を前にして緊張から上手く喋れなくなるシーン。
彼女の気持ち……私には分かりすぎるくらい分かる。
少し状況は違うけれど、私も今日主人公の女の子と同じ様に、大好きな彼に話しかけられ、緊張して何も話せなくなってしまった。
だけど、彼女は私とは違う。
彼女は勇気を出して、一歩前に踏み出した。
差し出された手を握って、
言葉ではなく行動で、
ちゃんと彼に、気持ちを伝えた。
フリーズして固まったまま、何も出来なかった私とは違う。
「コメント…書いてみようかな…」
ふと、そんな風に思った。
恋助さんのファンは、たくさんいる。
小説を読んでの感想やコメントが、毎日多くのファンから寄せられている。
その数は余りにも多くて、
『とても全員に返事を返すことは出来ないけれど、読者の方からの声は、いつも楽しみに読んでいます』
という恋助さんのコメントを、以前読んだことがあった。
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