第1章

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私のユーザーネームは、『ヒナ』だ。 『ヒロサキ リナ』の、最初と最後の一文字を合わせて、『ヒナ』。 恋助さんの伝言板に、コメントを書く。 『恋助さんの小説、いつもドキドキしたり、キュンキュンしながら読んでます。 主人公のアヤカが、大好きな彼の前で上手く喋れなくなる気持ち、もの凄くよく分かります。 私もいつも、好きな人を前にすると緊張して声も出ないし、カチカチに固まってフリーズしてしまうんです。 今日も好きな人がせっかく話しかけてくれたのに、一言も話すことが出来ませんでした。 でもいつか、私もアヤカの様に彼に好きな気持ちを伝えたい。 恋助さんの小説から勇気をもらいながら、少しずつ彼に近づけていけたらいいな、と思っています。 これからも応援しています。 by ヒナ』 ……長すぎるかな。 初めてコメントを書くので、要領がよく分からない。 何時か読み返した後、思い切って送信ボタンを押した。 「わーっ、送っちゃった。」 1人でベッドに座って、床につけた足をバタバタいわせる。 もちろん返事は期待していないが、そのうち恋助さんが私のコメントを読んでくれるかと思うと、テンションが上がらずにはいられなかった。
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