第2章

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家から駅まで徒歩5分。 電車に乗り、2つ向こうの駅まで10分。 そこでバスに乗り換えて、揺られること10分。 それでやっと私の通う高校に、到着する。 今朝は早く起きたので、いつもより1本早い電車で来た。 普段は毎日同じ時刻の電車に乗っているので、同じ顔ぶれの人ばかりだが、 今日はいつもと違う顔ばかり。 それだけで、どこか新鮮に感じる。 電車を降りてバス停へ向かって歩いていると、後ろから自転車に乗った学生が、次々に私の横を通って追い越して行く。 何台目かの自転車が通り過ぎる瞬間、 「おはよ。」 誰かが私に声をかけた。 驚いたように顔を向けると、自転車に乗った加瀬くんの姿が目に飛び込んで来る。 「あっ……」 突然の事に、びっくりして声が出てしまった。 加瀬くんは私の声に振り返って「ぷっ」と吹き出した様に笑うと、また前を向いて行ってしまった。 ……か、加瀬くんに会っちゃった……。 私に「おはよ。」、て挨拶してくれた…嬉しい……。 でも、何で加瀬くん、笑って……あっ、 そこで私は重要な事に気がついた。 私、加瀬くんに挨拶してない……。 加瀬くんは、ちゃんと「おはよ。」て言ってくれたのに、 「あっ」とか、変な声だしちゃって…恥ずかし……。 その場に立ち尽くして、さっき起こった事を振り返りながら色々反省していると、 私の横を見知った顔のスーツ姿の男性が通り過ぎて行く。 「あれ?あの人、いつも同じバスに乗る人だ。」 立ち尽くして色々考えてる間に、結構長い時間が経っていたようで、 結局私はいつもと同じ時刻のバスに乗って学校へ向かった。
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