第2章

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「おはよー。」 「あ、梨奈、おはよー。」 教室に入ると、先に来ていたさつきが私の席へ歩いて来る。 隣りで長谷部くんと話していた加瀬くんが、顔を上げてこっちを見た。 ……言わなきゃ…「おはよう」て……。 たった4文字なのに、なかなか声が出ない。 「ん、コホッ」 軽く咳払いしてから覚悟を決めて、私はスウと息を吸い込んだ。 「お、おは…」 「遅いじゃん。」 加瀬くんが私の声を遮って言った。 「…え…」 何のことを言っているのか分からずキョトンとした私に、さつきが助け舟を出してくれる。 「そう?梨奈、いつもこのくらいの時間だよね?」 「うん。」 「でも、今日は早く来てたみたいだったから。」 「え、そうなの?」 さつきが、クルッとこっちを向いた。 「あ、うん、そうなの。1本早い電車で来たから。」 「加瀬、何でそんな事知ってんの?」 何気なく、長谷部くんが聞いた。 「それはさ…」 加瀬くんが言いかけて、ちょっとイタズラな顔に変わる。 「俺と広崎の秘密。な?」 加瀬くんが、少し首を傾けて目で合図してきた。
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