第2章

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全然秘密にするような事じゃないのに、そんな風に言われたら、 2人だけで何かを共有しているようで嬉しくなる。 けれども嬉しさと同時に、加瀬くんに話しかけられて私はまたフリーズしてしまった。 カチカチに固まっているのに、体中が熱を帯びていて心臓がバクバクと音を立てている。 何とかコクンと頷くと長谷部くんが、 「何だよ。教えろよ。」 と、加瀬くんのお腹にパンチする真似をした。 「いいだろ、別に。」 「お前はっ。俺は、そんな風に育てた覚えはないぞっ。」 「俺も育てられた覚え、ないし。」 加瀬くんと長谷部くんのじゃれ合う声が、ぼんやりと遠くの方で聞こえる。 『俺と広崎の秘密。』 加瀬くんの言葉が、頭の中で何度も再生される。 「ちょっと、梨奈。」 腕を引っ張られて、さつきの席に移動すると、私はさっき吸い込んだ息を「はぁー」と吐き出した。 「梨奈、恐いよ…顔が。」 「えっ?」 「フリーズしてるのに、口角だけ微妙にキュッと上がってて……。 笑うのなら、しっかり笑ってよ。」 「……」 ……今、私…加瀬くんの前で、そんな、ほくそ笑むような顔して……。 さつきの指摘によって、私は幸せの絶頂から突き落とされ後悔の念でいっぱいになった。
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