36人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日の朝。
私はいつもより、更に1本早い電車に乗っていた。
昨日の夜ラッピングした後、加瀬くんに簡単なメッセージカードを書く事を思いついた。
色々考えて、
『加瀬くんへ
昨日、クッキング部で作ったカップケーキです。
少しだけどよかったら食べてね。』
と書いた。
メッセージの言葉や渡す時の事を考えていたら緊張してしまい、夜、あまり深い眠りにつけなかった。
それで、朝も何となく落ち着かなくなって、早く出て来てしまったのだ。
会ってすぐに渡すか、バス停に着いてから渡すか……。
迷ったけど、渡すタイミングを逃すといけないので、すぐに渡すことに決めた。
……加瀬くん、喜んでくれるかな……。
電車の中で、受け取ってくれた時の加瀬くんの顔を想像する。
……やだ、何かもう緊張してきちゃった……。
手提げの紙袋の中を覗いて、形が潰れてないか何度も確認する。
……渡す時、フリーズして何も言えなかったらどうしよう……。
降りる駅が近づくにつれて、だんだん心配になってきた。
……迷惑じゃ…ないよね……。
少しかさばるけど、カバンにも入る大きさだから、そんなに邪魔にならないだろうし……。
色々考えている間に、私の降りる駅にもうすぐ到着することを車内アナウンスが告げた。
最初のコメントを投稿しよう!