第3章

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次の日の朝。 私はいつもより、更に1本早い電車に乗っていた。 昨日の夜ラッピングした後、加瀬くんに簡単なメッセージカードを書く事を思いついた。 色々考えて、 『加瀬くんへ 昨日、クッキング部で作ったカップケーキです。 少しだけどよかったら食べてね。』 と書いた。 メッセージの言葉や渡す時の事を考えていたら緊張してしまい、夜、あまり深い眠りにつけなかった。 それで、朝も何となく落ち着かなくなって、早く出て来てしまったのだ。 会ってすぐに渡すか、バス停に着いてから渡すか……。 迷ったけど、渡すタイミングを逃すといけないので、すぐに渡すことに決めた。 ……加瀬くん、喜んでくれるかな……。 電車の中で、受け取ってくれた時の加瀬くんの顔を想像する。 ……やだ、何かもう緊張してきちゃった……。 手提げの紙袋の中を覗いて、形が潰れてないか何度も確認する。 ……渡す時、フリーズして何も言えなかったらどうしよう……。 降りる駅が近づくにつれて、だんだん心配になってきた。 ……迷惑じゃ…ないよね……。 少しかさばるけど、カバンにも入る大きさだから、そんなに邪魔にならないだろうし……。 色々考えている間に、私の降りる駅にもうすぐ到着することを車内アナウンスが告げた。
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