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結局、河川敷の公園にも皆はいなかった。
「イタッ!」
彩羽は右足に猛烈な痛みを覚え、恐る恐る靴を脱いでみた。新しい靴で走り回ったせいで踵と親指に靴擦れが出来て血がにじんでいた。
途端に彩羽の目からボロボロと涙がこぼれてきた。靴擦れの痛みなのか、皆に置いてきぼりをくらった寂しさなのか、自分が必要とされていない悔しさなのか…。
八歳の彩羽にそんな事到底わかるはずもなかった。
ただただ涙が後から後から溢れて止まらなかった。
気が付くと辺りは薄暗くなってきていた。
(帰らなきゃ…)
そうは思ったが、靴擦れの痛みで立ち上がることができない。勢いで走ってはきたもののこの足では到底家までたどり着く自信がなかった。
公園で遊んでいる子ども達もポツリポツリと帰り支度を始めている。
拓や和也も、もう家に帰っているだろうか…。
拓達が家に帰れば、事情を聞いて皆が探しに来てくれるはずだ。
だから今はむやみに動かず、じっとここで待っていた方がいいだろう。
彩羽は幼い頭でそう判断し、大人しくベンチに座って皆が来てくれるのを待った。
しかし、公園から人気がなくなり、辺りがすっかり暗くなっても誰も来る気配はなかった。
涙はとっくに荒れ果て、靴擦れの痛みも麻痺していた彩羽は、じっとうつ向き唇を噛んで辛さを打ち消そうとしていた。
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