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「……いろ?……」 ふと背後から声がした。 ゆっくり振り向くと、そこには和也が立っていた。 「うぇ…あぅ…ぐっ……」 彩羽は言葉にならない声をあげて泣き出した。今まで我慢していた不安や怒りや寂しさを爆発させるように。 和也は黙って、彩羽のとなりに座った。そして、何も言わずに彩羽の頭をぽんぽんと撫で続けた。 彩羽がひとしきり泣いた後、和也は立ちあがって彩羽の前にしゃがみこんだ。 「かず…くん?」 「行くよ、ほら」 和也は自分の背中に乗れと言わんばかりに手で合図をした。 「うん…」 彩羽は和也の背中に乗った。 和也は一瞬よろめいたが、両足を踏ん張り立ち上がって歩き出した。 和也はしばらく無言で歩いた。彩羽も言いたいことは色々あったが、和也の背中があまりにも優しくそして暖かくて、何も言うことが出来なかった。
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