プロローグ

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時々、同じ夢を見て目が覚める。 10歳の初夏、私が初めて夏に名前をつけたあの日の夢…。 夢の中の私は幸せなはずなのに、何故かすごく寂しい気持ちで目を覚ます。 そして目が覚めた時、決まって涙を流している。 「いろは?大丈夫?」 「ん、起こしちゃった?」 「いや、今起きたとこ」 「ちょっとお水飲んでくる」 気持ちを落ち着かせるために、私はベッドを出た。 冷蔵庫からミネラルウォーターを出し、ベランダまで行き、少しだけカーテンを開ける。 朝の日差しが、殊更まぶしく感じるのは夏の始まりを告げているからなのだろうか。 ペットボトルの水をゴクリと一口飲み、フーッと息を吐き出した。
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