プロローグ

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あの時、あの人が言った「好き」と言う言葉を聞いた時、私の頬は熱を持ち、心臓はうるさいほどに激しく鳴った。 好きだと言ったのは、向日葵の事だと私にだって分かっていたはずなのに…。 たった10歳の私に、その時の気持ちを説明しろなんて到底無理なことだった。 だけど、今なら…。 あの人に対する想いは間違いなく初恋だったと説明できる。 家族みたいに過ごしてきた幼馴染みが、恋愛対象に変わった瞬間だったと…。 昨夜、あの夢を見たのはどうしてなのだろうか…。 もうすぐ私は彼と結婚して幸せになる。そう決めたはずだ。 夏の名前の数だけ出来たあの人との思い出は、心の奥底に閉まってあるはずなのに…。 それを思い出してはいけないと思えば思うほど、夢の中のあの人は鮮明になっていく。 あの人も思い出すことがあるのだろうか…。 私がつけた夏の名前の数々を…。
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