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桜庭彩羽(サクラバイロハ)には両親がいない。
彩羽が三歳の時交通事故で亡くなった。
以来彩羽は、神主である祖父と書道教室を開いていた祖母に育てられた。
彩羽が育った東京の下町は、ご近所さん皆が人情味溢れる人ばかりだった。
だから自然と近所の子ども達は仲良くなり、まるで各家が自分の家であるかのように普通に行き来する。
そんなだから物心ついた時から彩羽は、両親がいないことを一度も不幸に感じたことは無かった。
彩羽、そしてすぐ隣に住むひとつ年上の音無拓(オトナシタク)、近所に住む拓と同じ年の二元和也(ニノモトカズナリ)。三人はいわゆる兄弟のような幼馴染として常に過ごしてきたのだった。
拓は面倒見のいい兄貴肌。いつも彩羽の世話を焼き、どんなことからも優しく守ってくれていた。
一方の和はと言えば、ぶっきらぼうでいつも憎まれ口ばかりだが、肝心な時は彩羽の手を引いてくれる。そんな存在だった。
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