きれいな瞳のその人は

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 彼は、初めて私の名前を呼んだ。  やっぱり、この瞳には吸い込まれてしまいそう。 「あの、あなたのお名前は」  思わず、尋ねた。  彼は、はにかむように微笑んだ。ようやく本当の名前を名乗ったその人は、帽子を外し私にお辞儀をした。 「また、来ます。今度はお志津さんに会いに」  きれいな瞳のその人は、それだけ言うと、店を出て行った。
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