きれいな瞳のその人は
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きれいな瞳のその人は

「いらっしゃいまし。何用で?」  旦那様は、人のいい笑顔でその人を出迎えた。 「ああ。商売道具の植木鋏うえきばさみの手入れをお願いしたいんだが」  その人は、そう言って、店の奥まで入ってきた。  服装は、着流しを尻端折りにしている格好。月代を剃った頭に、ちょこんと乗った髷。風呂敷を背負い、首の前で結んでいる。あの中に鋏が入っているのかしら。そうは見えないわ。   「ここに、お名前を書いてください」  私は帳簿を差し出した。誰のどんな依頼を受けたのか、依頼の応対が済んだのか済んでないのかを書くためのもの。  その人は、名を吉太郎と書いた。  吉太郎さんは、旦那様に案内されて二階へ上っていった。
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